返し
49 春ごとに心をしむる花の枝にたがなほざりの袖かふれつる
大弐三位
【通釈】
49 春が来るたびごとにわたしが深く思う梅の枝に、どなたがいいかげんな袖をお触れになり、その移り香を移されたのでしょうか。○二·三句 源氏物語·梅枝に、「花の香は散りにし枝にとまらねど移らむ袖に浅くしまめや」という朝顔斎院の歌に対し、源氏の歌として、「花の枝にいとど心をしむるかな人のとがめむ香をば包めど」とある。▽藤三位集によれば、四八が大弐三位で、四九がそれに対する藤原定頼の返歌。端白切(はたしろぎれ)は新古今集に同じ。定頼集にもこの贈答歌は載るが、新古今集からの再録か。