「ウィキリークス」が暴露したアメリカの外交当局の文書の中に、国連幹部の個人情報を入手するよう指示するものが含まれていたことについて、国連では、アメリカをはじめとする各国大使らに対して記者団からの質問が集中する騒ぎとなっています。

ウィキリークスが暴露したクリントン国務長官名とする文書では、アメリカの情報機関が利用するために、国連の幹部のメールアドレスやクレジットカード番号などの個人情報を集めるよう指示しています。これについて国連では、アメリカのライス国連大使に対して記者団から質問が集中し、ライス大使は「機密文書自体については、一切コメントしない」としたうえで、職務の内容については「アメリカの外交官は国連だけでなく世界中でアメリカの国益を守り推進するため、卓越した業務をこなしている」と述べるにとどまりました。一方、イギリスのライアル＝グラント国連大使は「イギリスはいかなる機密文書の漏えいも非難する」とだけ述べました。国連では、過去にも事務総長の電話が安保理メンバー国によって盗聴されるなどのスパイ疑惑が何度も持ち上がったことがあります。ロシアのチュルキン国連大使は「ウィキリークスについてコメントはあるか」という記者団の問いに、皮肉まじりに笑いながら「驚きだね」と答えていました。